その昔、劇団健康という劇団がありまして(この度、復活)。
私が入団した当時、そこでは個性的な先輩方が、ダラダラと「かろうじて演劇らしきもの」をやっていました。
入って思ったこと。
「失敗した。」
なんでこんな面白そうな人たちが、こんな面白くないことをやっているのだろう?
そう思ったバカが一人、生意気にもホンを書き出したり演出しだしたりした結果、意外に多くのバカが乗っかって来てくれました。
確信を持って言い切りますが、あの頃の我々は本当にバカでした。
あれから十数年、辺りを見回して、つくづく思います。バカをやらかす奴が減ったなと。
実はこの世には、バカにしかできないことがあります。しかし残念ながら、人はバカになれなくなっていくものです。
そこでバカの生き残りが一人、バカな企画を考えました。そこには嬉しい事に新しい愛すべきバカたちが集まってくれました。
そしてイニシエのバカもそこに引き寄せられたのです。
そう、これがバカの力です。
かつて、なんか熱血臭と尾崎臭を漂わせ「俺、絶対この人とは関わりたくない」と思わせたバカは、相変わらず、テンションだけで芝居をしています。
かつて、巨大な身体で巨大な言動をする癖に異常な程に小心で「俺、絶対こいつとはうまくやってけねぇ」と思わせたバカは、相変わらず、台詞を強引に自分好みに改変します。
そんな相変わらずな連中ですが、驚くほど芝居にブランクの後が見られません。
初めてご覧になったお客様や共演者諸君、言っときますが10年前もあんな感じです。
しかし考えれば当たり前です。
技術は錆び付くものですが、我々は技術がなかったのですから。
そう、これがバカの力です。
新旧バカの出会いが、果たしてこれから何を産み出すのか。
相変わらず文章がダラダラしてまとまりがないバカの生き残りの一人として、見届けたいと思っています。
古い水夫も舟は出すのです。
新しい舟に怯えながら。
さあ、「第三工業高校機械科3ーC」第一話、今日で最後です!
新しい水夫も負けるなよ!